元から悪いが、最近特に記憶力が酷くなっている為
忘れないうちにメモしておこうと思う。
概要
配布されているボイスファイルの形式に統一性がない為、
ファイル形式によってツールを使い分ける必要があるのが現状。
基本知識
説明の前にまず、基本中の基本知識を3つ。
BRSARとは?
一般的なWiiゲームで使われている、効果音やボイスなどが入ったコンテナファイル。
(拡張子:.brsar マジックナンバー:RSAR(0x52 0x53 0x41 0x52))
「ボイスハック」は誤り
「ボイスハック」「SEハック」という呼び名は日本人が勝手につけたもの。
両者を統合した意味を持つ正式名称が「SFXハック」。
(SFXはSound Effectsの略。要するに効果音とかボイスとか短い音声の総称)
BRSARは音声制御の核
BRSARとBRSTMはとても深い関係がある。
BRSARをただのSFXコンテナだと思ってないか? …それは違うぞ。
BRSARはそのゲームの音声周りの制御全般を担っている*1のに対し
BRSTMはBRSARの部品の一部に過ぎない。
(スマブラXはBGMのループ制御をBRSTMに任せているが、それ以外の一般的なBRSARを使用するゲームはBGMのループ制御もBRSARで管理している。)
BRSARもやろうと思えば自身にBGMを内包することができるが、
それをやると容量が膨らみ読み込みに負荷がかかる為
BGMはBRSTMという子形式に分離し、
それを制御し必要な時だけ読み込むようにすることで読み込み負荷を減らしている。
BRSARあってのBRSTM。
編集可能ツール一覧
では本題。
今現在、BRSARの編集に対応しているツールは以下の3つ。(正確には4つ)
- Sawndz (0.072と0.121は機能が違う)
- Super Sawndz
- BrawlBox (0.68以降)
機能比較表
Sawndz 0.072 | Sawndz 0.121 | Super Sawndz | BrawlBox | |
---|---|---|---|---|
プレビュー | × | × | ● | ● |
ステレオ音声 | × | × | × | ● |
ループ設定 | × | × | ▲*2 | ● |
音量調整 | × | × | × | ● |
wave形式での抽出 | × | × | × | ● |
3大ID*3確認 | × | × | ● | × |
SFX ID*4確認 | × | × | × | ● |
音質 | ● | ● | ● | ▲ |
対応ファイル | .bin*5 .wav | .bin*6 .sawnd .wav | .sawnd .wav | .wav |
スマブラX以外のBRSAR編集 | × | × | × | ●*7 |
あんなにBRSAR対応にやる気が無かったBrawlBoxだが、
何を思ったのか先月リリースされた0.68からいきなり本気出しやがった。
マリカWiiハック界の大物が開発協力している為、
マリカWiiをはじめとする様々なBRSARの編集に対応しているのが最大の強み。
各ツールの解説
Sawndz 0.072 (旧Sawndz)
任天堂の中の人以外が作ったツールとしては
世界初、スマブラX限定でBRSARの編集ができるようになった
Jaklub氏が作ったBRSARツール第一弾の最新版。
最初のバージョンは2010年秋頃に初登場。
今となっては低機能過ぎて基本的に使うことはないが
当時はこれしかツールがなかった為、大変重宝された。
wavファイルを指定した場所のSFXと置き換え、
その置き換え先の場所を記した.datファイル(.wavとセットになる)と
埋め込み後のBRSARのその部分を切り出した.binファイルを生成する。
ネットで配布されているファイルでbinやdat+wavのものはこの旧Sawndzで作られたもの。
音声を置き換えるには、その場所(オフセット)を手動で入力する必要が有り
非常にめんどくさい上に使いづらい。
そのオフセット確認にはSmashBox 0.57(BrawlBoxの前身)を使う必要があるのだが、
このSmashBoxとかいうツール、64bit OSに完全に対応していない。
その煩わしさと64bitいじめという二重攻撃のせいで
この時点でSFXハックを諦める者が多い。
(故に、当時SFXハックができる者はある種の変態という認識だった)
前述のdatを読み込んでセットになるwavを半自動で埋め込んだり
オフセットを指定して前述のbinを直接埋め込むこともできる。
(binは単に音声部分がダイレクトにBRSARから切り取られただけなので普通にバイナリエディタで埋め込むこともできる)
ちなみにモノラル専用。
基本的にSFXはモノラルなので困ることはないはずだが、
一部のSFX(スマブラXの場合ステージギミック音など)はステレオなので注意。
Sawndz 0.121 (新Sawndz)
Jaklub氏が作ったツール第二弾。
見てのとおり、見た目が一気にスッキリした。
それまでのアドレス直入力に代わって
3大ID(Group ID・Collection ID・Wave ID)を
オフセットとして使用するのでちょっと簡単になった。
が、その3大IDの確認にはやはりSmashBoxが必要(当時)だった為
相変わらず敷居は高いまま。
datとwavのセットによる配布はそこそこ便利ではあったが
置き換えるSFXが多い場合、同梱するファイル数も増え、当然それに比例して手間も増える。
そこで、このバージョンから新たに .sawnd というSawndz独自形式が扱えるようになった。
指定したキャラのSFXグループの音声部分を丸ごと切り出し、
その場所(アドレス)をプラスしたファイル。
これにより、一括置き換えが一気に楽になった。
が、変更がないSFXまでファイルに含めてしまう為、本来より(.sawndファイルの)容量が膨らむ傾向にある。
このsawndファイル、本来は配布用の一括置き換えパッチ的な位置付けであったが
File Patch Code 3.5.1とReplacement SoundBank Engineコードを使用することによって
sawndファイルをゲーム中で読み込めるようにできる。
つまり、Gecko OSでもSFXハックできる。
従来通り、IDを指定してwavを埋め込むこともできる。
ステレオ未対応なのは相変わらず。
(datファイルとbinの直接埋め込みは廃止された。)
Super Sawndz
核となる部分にSawndzのコマンドラインexeを利用した、Agoaj氏による改造Sawndz。
新たにプレビュー機能を搭載。
BRSARに埋め込まれているSFXを右側のリストから選んでその場で再生して確認することができる。
置き換えたいSFXを右側のリストからクリックして選択し、
Input Fileから置き換える.wavを選んでInsertを押す。
たったこれだけでSFXを変更することができるスグレモノ。
これによりSFXハックの敷居が大幅に下がった。もうID手入力とはおさらば。
元がSawndzの為、.sawndファイルにも対応。
対象グループのリストを選択しCreate Sawndを押すだけで.sawndファイルが作れる。
読み込みに至っては、Input Fileから.sawndを選んでInsertを押すだけ。
最初から最後まで、という条件付きながらループフラグを立てることもできる。
元がSawndzなのでステレオ非対応なのが痛いが、普通に使う分にはとくに困らない…はず。
何気にSawndzで使う3大IDが手軽に確認できる。
今現在、SFXハックするツールで最も扱いやすくバグもない為
当分はこれがデファクトスタンダードになるかと。
尚、Super Sawndzを動作させるには別途以下の3ファイルが必要。
- dsptool.dll
- sndconv.exe
- soundfile.dll
これらのファイルはWii SDKに含まれている。
BrawlBox
スマブラXハックには、 …いや、、
今やWiiゲームのハックには欠かせない存在となっている有名ツール、BrawlBox。
今年4月の終わり頃にリリースされた無印0.68から対応するファイルが一気に増えた。
Sawndzと違い、こちらは独自開発。
故に、.sawndファイルには対応していない。
その代わりと言うのはアレだが、
再生音量が調整できたり、BRSTMと同じ自由なループが設定できたり、
ステレオ音声を問題なくプレビュー&置き換えできたり、
PSAで使用するSFX IDを確認できたりと、何かとかゆいところに手が届く。
もちろんSuper Sawndz同様、その場で再生・確認できるプレビュー機能も搭載。
Super Sawndzと違い、SFXの名前がわかるのでプレビューの使い勝手はこちらの方が上。
だが、このツールの最大の強みは、
なんといってもスマブラ以外のBRSAR編集にも対応しているところ。
完全ではないので開けないBRSARもチラホラあるが、
それでも大半は普通に開いて編集できちゃったりする。
但し、エンコーダにバグがあり、
一部のwavはBrawlBoxで置き換えると何故かノイズが入ったり、音割れしたりする。
スマブラXのBRSARの場合、ステレオSFXやループSFXを除き
原則SFXの置き換えはSuper Sawndzで行い、
BrawlBoxはSFXのプレビューや各情報の確認、抽出、他ゲームのBRSAR専用として割り切った方が良い。